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2016年9月22日木曜日

続 岐阜遠征




* 写真は 8月31日 ロアッソ熊本戦での、藤田息吹選手の J初ゴールの模様





9月の三連休の中日、私にとって特別な試合があった。

長良川メモリアルセンター。 19:00 キックオフ  FC岐阜 vs.愛媛FC

本来17時まで有松小にいれば、とても間に合わないスケジュールで、あきらめていた。
雨の日曜日の予報が3週連続で外れた翌週、4度目の正直で 恵みの雨 ときた(選手諸君には悪いが)
朝8時にフライング気味の 中止配信 をうち、心は長良川にとぶ。
潤の出場は前夜に決定している。 息吹(藤田息吹/愛媛FC)は前節まで6試合連続先発出場。まず大丈夫だろう。
今日はとりあえず中立の立場だが、送迎の潤父母の手前、緑のウェアを着込み(一枚もないと思ってたが、わがチームの22番のMサイズのユニをみつけた) 豪雨に備えて下着の替えまで準備に怠りはない。
16時にお迎えの車に乗車し、雨の中 22号線を飛ばす。 車中でパパのスマホチェックで、息吹のベンチスタートに呆然とする。

藤田息吹  −  平成14年、当時県内無敵を誇り、のちに 伝説の最強チーム とたたえられた 「2002年組」のキャプテンであり、精神的支柱であった。
フットボールに対し、常に真摯に向き合い、ストイックであり続け、かかわった過去300人の中で、もっとも尊敬すべき少年でもある。

今の教え子からしたら、本当に 爪の垢でも、耳垢でも煎じて飲ませたい、という誠実な努力家だった。

教え子…というにはおこがましいが、とりあえずかかわった少年たちが、プロの舞台であいまみえる。 半年前には(息吹は確実だが、潤は厳しいだろう)と思ってたのに。
けどまあ、途中出場の可能性はある。
試合の経過は省略。 後半15分、息吹登場! 岐阜のファミリー席から、ひとり名前を絶叫し盛り上がる。 周りの冷たい視線に他人をよそおうパパとママ(笑)。 
タイスコアからひとり少ない愛媛を押し込む岐阜。 中盤で汗をかき、必死にボールを散らす息吹。 高めに位置取り、上質のクロスを入れる潤。 愛媛のミドルカウンター!息吹のスルーパスを潤がインターセプトする。 スタジアムの誰よりも深い感銘をうける僕。 後半アディショナルタイム、右からのCKが美しいインスィングを描きゴールに吸い込まれる。 劇的な勝利に爆発するスタジアム。 潤の歓喜と、息吹の落胆。 対照的なコントラストを描くかつての少年。

終わりの笛とともに勢いを増した雨の音は、ゴール裏の岐阜サポーターの大歓声をもかき消す。 悲劇的な結末にも下を向かない息吹は、十数年前と同じように、誠実に愛媛からのわずかなサポーターのもとへ挨拶に出向く。 トラックを半周し、こちらに帰ってくるタイミングで、スタンド最前列まで声かけのために走る。 岐阜のチャントと太鼓の音が鳴りやまぬ中、どこかで聞いた声に顔をむける息吹。 悔しさを押し殺し、ペコリと頭を下げてから見せてくれた笑顔は、14年前と同じようにかっこよかった。