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2012年1月22日日曜日

選手権 エピローグ

全国4174校の頂点を決める最後の45分が始まった。
46分。1on1のシーンがTVのアップで映し出される。異常なまでのクイックネス。武でもはたして抜けるかどうか!?
57分。たいして仕事はしてないのに、アップで何度も映る。
60分。ようやく市船に連動が見られ始める。
62分。初めてと言っていい、決定的チャンスもネットを揺らせない。
66分。決定的ピンチを凌ぎ。
69分。キレとスピードとキープ力のある池辺投入。
四中工に疲れが見え、足が止まり始める。
74分。岩淵のシュートは左ポストをかすめる。
残り15分を切り、嵐の猛攻がスタートする。

そして、両チームにとって、地獄のような、最終盤が近づいてきた。

FKとCKの終わりなき繰り返し。
90分過ぎ。(そうそうロスタイムの劇的などあるわけないさ)何百何千というゲームを見続け、それらの多くは当事者として体感し、悲劇的な結末は記憶してるクセに、稀にあった感激は(今度はそううまくいかない)と信じないフリをして、自分に不都合な結末に、傷つかないよう心にバリアをはる。
眼下のブルーのサポーター(市船部員)たちは、今この瞬間を一体で戦い、全細胞で信じきり、叶わなかったときのことなど微塵も考えていない。
若いって素晴らしい。青春っていいな。
そして、達観しているつもりの中年の後頭部を蹴飛ばすような「同点ゴール」が目の前で炸裂する。

叫ぶでもなく、立ち上がりもしない。(これで新幹線、数本遅れるな)なんて人ごとのような感想。
負の感情を抑えこもうとすると、ハジけることも忘れてしまうのか。

延長戦。

7、8年前の当事の仲間たちは、どんな心境で見つめているのだろう。
羨望。嫉妬。自慢。勇気。そして誇り。センター試験の追い込みも、しばし手を休め魅入っているのか。
神が用意していたにしては、あまりに出来過ぎた逆転劇。17、8の少年に背負わせるにはあまりに重い十字架。

そして、代々木の寒空を切り裂く、澄んだホイッスル。

二、三回戦は声かけのため最前列まで降りたのに、今はなんだか遠くへ行ってしまった気がして、表彰式も見ずにメトロに乗った。気がつけば のぞみ の車中で熱海あたりを走ってる。

ふと思いつき、メールを書きこむ。

「有頂天にならず、謙虚に、自分を見失うな」

日本はおろか、県や市の頂点にすら立てない私が言うべき言葉か?自嘲気味に苦笑する。

さて、来週からはがんばるぞ!潤に出来たのだから、イーグルスのヤツらに出来ないはずはない。 スキル・能力・メンタリティ。たしかに違うから、彼になることは出来ないだろう。ただ、彼のように「自分を信じ、あきらめずに努力する」ことが出来たら、結果がどうあれ、きっといいサッカー人生が送れるに違いない。「自分を信じる」ことの大切さと素晴らしさ。それを少しでも伝えられたら、もしかすると今の気分と同じ満足感が得られるのかな。

高校選手権 その3

おとといの寒さを警戒し過ぎて、ヒートテックの下にさらに着込み臨んだが、汗ばむほどの陽気だ。
いや、気候だけではない。人間の数と、自分を含めての大勢の高揚感が熱気を生んでいるのか。
14時キックオフの90分前には現地入りを果たす。スタジアム周辺はすでにラッシュアワーのような人波だ。青の軍団に白の一団。グッズ販売のテントは家族連れが列をなす。思えば選手権決勝は初体験だ。W杯やEURO、代表戦やJリーグは何度も観たが、それらとはまた違う盛り上がりだ。

選手権関連誌は本屋であるだけ買い漁った。残念ながら、どこをめくっても「彼」の記事には巡り会えない。名門の副将とはいえ、地味なポジションだし、それ以前にそもそも下手クソだし(笑)

昔を懐かしむうちに時間が過ぎ、選手入場。JFAのお偉方から久子さまとまで握手をかわす。

公式発表では4万数千ってことだが、6万入るはずのこの器のどこに空席があるのかわからない。総会で、わずか数十人の前で話すのがストレスの自分にしたら、数万人が見つめる中でプレイをすることの緊張感は想像が及ばない。

J資格を持つレフェリーの、よく通る透きとおった笛の音が響き、ファイナルが開演する。落としたボールを背番号5が右フラッグめがけて左足を振り抜く。跳ね返されたボールが彼の担当する左サイドを襲う。ゴールキックに逃れようとした思惑は外れボールの勢いは死ぬ。イキナリのCK。絶対の自信を持つCK。そしてそこから、本物のドラマが幕を開ける。

1分もたたぬうち、ビハインドを背負う。
8分。潤が意地を見せ、高い位置でインターセプトからアーリークロス。これはやや精度を欠きGKの懐に収まる。
13分。かつての戦友、寺尾の突破を許す。
20分。小学校時代と同じフォームでハイボールを弾き返す。
26分。小学校時代とは見違える精度でクロスをあげる。
42分。「鈴木」のエピソードがTVで紹介される。
感心したのもつかの間、44分。イージーな壁パスをミスる(やっぱ下手なところは変わってないわ・笑)

前半終了。

2012年1月21日土曜日

子どもスポーツフェスタ・フットサル

6年生はフットサルの大会に参加しました。AB2チームです。
がんばります。

2012年1月14日土曜日

高校選手権 その2

久しぶりの聖地 国立競技場。先人たちの汗と涙が染み込んだ地に、あの小僧が足を踏み入れるのか。

電光掲示のメンバー発表で、すでに涙腺が緩む。
超高校級の攻撃力を持つ大分を超高校級の守備力で迎え撃つ。その鉄壁の一角を潤が担うことは、すなわち私の眼力のたしかさを物語っている。ならば、今年のイーグルスも間違いなく強くなれるはずだ(彼らのメンタルが潤と同じレベルであるならば)

それまで17点を上げた大分攻撃陣にまったくと言っていいほど仕事をさせない。スコアこそ2−1だが、内容的にはワンサイドゲーム。見ていておもしろくない、いやつまらな過ぎるサッカーだが、この守備を破る高校はいるのか。
もう一方のカードを観ると、高校生らしい、そして現代の「バルサッカー」を手本とする、美しく速くパスをつなぎ、人とボールがよく動き連動するフットボールだ。が、あまりに軽く甘い守備を見ると、やっぱり子どもと大人の中間点 との思いは否めない。


閑話休題

今日 8日はなにもすることがない。クラブの新年の初蹴り(親子サッカー)と総会だというのに、世田谷の親戚宅で時間を持て余す。思えばこんな休日はこの10年あっただろうか?平日仕事して、土日は球を蹴る。たまの休日は雨か墓参りか妻の足だ。

下北沢の駅周辺を散策し、昼食の店を物色する。思いがけず、昼から 立ち呑み の機会に恵まれたことに気づく。

市場の中の汚い店に腰を落ち着け、昼からホッピーと煮込みで酔う。ふと壁掛けの古時計を見ると、13時前だ。遠く名古屋(いや、飛島村か)では、今頃『総会』が始まろうとしてる。カタチだけ『代表』の私の不在は、物議を醸すか、ひんしゅくを買っているのだろうか。みなの「緊張」を想像したら、自分の「弛緩」した現実とのギャップに、ますます酒が旨くなってきた(笑)

ラグビーの大学選手権決勝が本日国立で行われることを知り、それもまた楽しみだと、モチベーが上がる。飲む前は行く気満々だったのに、昼から二軒ハシゴしたら、もうどうでもよくなって、酒と肴を調達し「宿」へと帰還する。

TV観戦に切り替え、途中うたた寝するも、最後のPGは見届け、マッサージチェアでしばし爆睡。

お腹空いてないけど、奮発してくれた夕飯、お寿司と鍋 をビアとワインで流し込む。泣いても笑っても、明日は高校最後のゲームだ。そして、彼が、数万人はいたであろう同級の選手では、日本にわずか数人しか残っていない「現役」の一員として、明日を迎えられることが単純にうれしい。

2012年1月11日水曜日

2012 高校サッカー観戦記1

品川駅から総武線を乗り継ぎ千葉へと向かう。内房線に乗り換えると、都心から数十分とは思えないほどの田園風景が広がる。寂れた工場に商店。人の影は少なく、灰色の空に見事にマッチして、過疎な雰囲気をより演出している。
田舎特有の古臭いバスに乗ると、10分もかからず工業地帯の真ん中にあるスタジアムにたどり着いた。

急ぎ足で階段を上がると、僕らを待っててくれたようなタイミングで主審の笛が響いた。

青いチームの左サイドを探すが見つからない。やはりケガは完治せず、先発は外れたようだ。
立ち上がりのミスを突かれ追いかける展開となるも、終盤になんとかこじ開け際どく3回戦進出。

夜は両国のちゃんこ屋で馬刺しと焼鳥と鍋をつつく。久しぶりの親友と飲む酒は本当に旨い。タダ酒だから特に(笑)

朝早いから眠いんだけど、これで帰るのはもったいない。もう一軒だけ、古い居酒屋をひとりで訪ね、旅気分を満喫して帰る。

翌朝、ホテルの朝食バイキング中、電話が入る。

「今日は先発で出ます」

名門校の全国大会となると、この時点でメンバー発表するのか。とにかく楽しみが増した。

神田のつけ麺で少し早いランチを済ませてから会場入り。もう一方のカード 四中工戦をついでに観戦し、心を整える。清商戦は山場だろう。単なる強豪、でない思いがあるはずだ。小6冬の清水チャンピオンズカップ。圧倒的にやられ、スタンドから観た 王者清水FC の王様・風間との直接対決。6年ぶりに訪れたリベンジの舞台だ。

成長かチーム力か。かつて見上げた日本のエースになにも仕事をさせず、完勝でベスト8へ駒を進める。

準々決勝は仕事の調整がつかずあきらめる。心のどこかで(ここで負ければ悩まなくてすむ)想いが疼く。準決・決勝は週末の三連休で行くか?しかしクラブの総会・初蹴りを犠牲にしなきゃならん。新年のスタートに子どもたちにかける言葉も去年から考えている。昨年散々泣かされた雨を期待するが、予報では絶好のサッカー日和だ。人生とはかくも皮肉なもの。

スタッフの好意。イーグルスの子どもたちの顔。妻の後押し。いろんな想いが交錯し、綱引きをする。けれどもダメ押しはやっぱり本人からの電話。上京を決意し、旅仕度を整える。