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2012年7月2日月曜日

EURO2012観戦紀行 3  − 別れの曲 −


クラクフの アンデルスホテル−今までで最高にオシャレな部屋だった−を朝6時過ぎにチェックアウトし、最後の観戦地 ポズナン へ向かう。なんと9時間超(!)の長旅だ。最高のホテルだったのに朝食をとることさえできず、車内販売のまずいコーヒーでサンドイッチを流し込む。持参した本は読みつくし、イーグルスに関する議論もしつくし、もはや寝る以外にすることはない。途中、鍵の壊れかけたトイレに閉じ込められるアクシデントもあったが、なんとか無事に脱出し(笑)到着。地方都市の中央駅なのに、鶴舞駅よりさびれて、汚く、暗いイメージだ。タクシー(これも本当に安い)で Sunny Hotel まで。持参したGoogleの地図もホントあてにならんな。4〜5kmの徒 歩圏内かと思ったが全然違う。
イタリア−クロアチア。グループリーグの第2節はハズレのない好ゲームになることが多い。初戦はどちらも、守備的に手堅くいく可能性があるし、第3節になると 連敗 で ジエンド となってる場合もある。それに対し第2節は初戦にどんな結果であっても、突破 と 敗退 が確定していないから、熱いゲームが期待できる。それがわかってるから両チームのサポーターたちもアツイ!スタジアム周辺での狂喜。アンセムの後の恍惚。ゴール後の爆発と落胆。この人たちの人生の悲喜は、フットボール(カルチョ)以外にないのではないか。まったく困ったもんだ...それじゃ俺と同じじゃないか(笑)
イタリア国歌をサポーターたちとともに歌う。口ずさめる自分が笑える。 
期待にたがわぬ激闘に酔い、「ぼったくりタクシー」で帰還する(笑) ホテルのレストランで名物料理とスペインの美しいパス回し(スペインvsアイルランド)にさらに酔う。ポーランド最後の夜は、切なく、ノスタルジックにふけていった。
ポズナン中央駅で、この旅最後の列車を待つ。おそらく二度と来ることはないであろう、中世の都に別れを告げる。結局覚えたポーランド語は ピーボ(ビールの意)だけだった(笑)
しかし、実は期待していなかったんだが、ポーランド料理は本当に安くておいしかった。ヨーロッパで美味いものといえば、イタ飯かスペ飯くらいしかないと思ってたんだけど、目からうろこだった。ガイド本にある通り、ポーランド人は親切で優しかった。アジアの中年オヤジが困ってると、声かけてくれたり。「美人が多い」ってのも本当だった。街ですれ違う民間人に、ハリウッド女優クラス が大勢いる。イーグルスの母親たちもおキレイだが、女優クラス となるとね(笑)
まあ長々つまらんこと書いたけど、書けたのはほんのごく一部であって、心とアタマに刻み込まれた記憶は膨大な量だ。そこにはいろんなストレスもあったけど、過ぎてしまえばすべからく素晴らしき想い出になる。家に閉じこもり、TVゲームしたり、小銭数えてたって意味なんかない。いきあたりばったり でもなんとかなるもんさ。旅もサッカーも人生もね(笑)

EURO2012観戦紀行 2  − 雨だれのプレリュード −


本日は ウロツワフ まで向かい ギリシャ−チェコ 観戦。ランチに寄った瀟洒なテラスのお店で初めての ピエロギ と ビア。期待してなかったわりにはなかなかに美味いじゃないか。それにほんとうに安い!4万円強換金して持参したが、使い切れるだろうか。急にセレブになった気分だ(笑)
今までのヨーロッパツアーでは、チケットの入手はすべて現地アタック(ダフ屋交渉)だったので、今回すべてのチケが手元にあることはありがたい。しかもこのカードはほとんど正価だし。ゲーム内容は論ずるに値しないが、席はカテ1でピッチに近い上、3ゴールすべてが間近で見られたので大満足。
夜はネットで予約した三ツ星ホテル併設のレストランでディナー。池のほとりのロマンチックなテラスで地元料理に舌鼓。野郎二人なのが本当に悲しい(笑)飲み食いしながら液晶大画面で ポーランド−ロシア を観戦。かわいいウエイトレスたちと地元ポーランドを応援。レバンドフスキやアルシャビン、ザゴエフら、個の能力も高いし連動も悪くない。(今じゃ日本より格下だろう)くらいに思ってたが、意外な好ゲームに酔いました。まあ、シチュエーションがそう思わせたのかもね。
私の知るヨーロッパのの青空はどこへいったのだろう。 
明くる朝はザーザー降りの雨。灰色の空に荘厳な街並みも、セピアな香りがしていいね。これから クラクフ まで6時間超の列車移動。古都・クラクフはこの国一の観光都市だ。ヴィエリチカ岩塩坑やアウシュビッツ等、世界遺産が充実し観光には最適な街だ。なのに下調べもろくせず、いきあたりばったりの旅ゆえ、当然そんな余裕はなかった。欧州屈指の広さといわれる中央広場を少々散策し、自分とクラブへのお土産を買いこむ程度だ。広場に面したイタリアンカフェで夕飯。デンマーク−ポルトガル の死闘を肴に、ピエロギ、パスタ、ビアにワインにウォッカに酔う。考えうるかぎり、人生において極上の贅沢だ。店の娘もほんとうに美しい。
そしてさらに、ホテルに戻り観戦するのが、因縁の オランダ−ドイツ ときてる!ビール片手に堪能すると、(もう死んでもいい)という気分にさせてくれます(笑)
いつのまにか、雨はやんでいた。
* 副題は  雨音はショパンの調べ にしようかと思いましたがやめました(笑)

EURO2012観戦紀行 1   − 英雄ポロネーズ −

毎度おなじみ退屈の極みである十数時間の空の旅を経て「フレデリック・ショパン国際空港」へ降り立った。初めての(旧)共産圏で待ち受けていたのは、リュック・ベッソンのシネマなみの暴走タクシーだった。「ドリブルのほうが運転より速い」といわれる安全運転の林Cにしたら、ショック死しそうなスピードだろう。青空のイメージの西側諸国と違い、ワルシャワ(ネイティブには ウォルソウ という)の街はどこか暗く、汚く、危険な香りがした。チェックインしたホテルの外観と窓から見えるスタジアムの風景に、祭りの始まる予感。

予想外のきれいな部屋と豪華なブレックファストを堪能し、翌日は列車で グダンスク へと向かう。
「あなた方の乗る列車は満席だ!」いきなり、旅のすべてを否定されたかのような、中央駅でのトラブルも乗り越え(笑)無事に1等車の指定席をゲットする。
海外で初めて、「ネット予約」したホテルを不安を胸に訪ねる。Googleの地図はファジー過ぎたので、親切なポーランド人の優しさに触れて辿りつく。緑に囲まれた、坂の上の宿はホテルというより、小金もちのお屋敷であった。2階の1室に荷物を放り込み、タクシーでスタジアムへ向かう。
スペイン−イタリア(予選リーグ 第1節)  いきなりのメインイベントである(まさかファイナルと同カードになろうとは!)ゲームの経過は省略。今さら語るまでもないからね。スペインのボール回しはリズミカルで心地よい。頭の中を軽快なピアノ曲が駆け巡る。世界のヒーローたちのそれは、まるで『英雄ポロネーズ』を聞いているようだ。秀逸な シャビ、イニエスタ、ピルロの視野。自分を中心に半径4〜50mが上空から見えている。4〜5mも見えない(中には4〜50cmしか見えない)Aチームの選手たちにどのような指導を施せばよいのか。いや、指導ではなく、きっと「天賦の才」というものなんだろうなあ。

バルト海に面した美しい港町、とあるが結局、駅とホテルとスタジアム以外に足を運ぶことはなかった。ディナーに入った高級ホテル「メルキュール」で供されたのは、ハンバーガーとサンドイッチ。言葉がわからないとこうなるんだな(笑)けどドラフトビアはおいしかったよ。

あっというまに「バルトに浮かぶ琥珀」をあとにし、「欧州鉄道の旅」でふたたびピアノの詩人の生まれた、首都へ。ポーランド −平原の地 の意− らしい起伏の少ない草原地帯をスローなオンボロ列車が走る。ワルシャワに戻り、ガイドブック掲載の ピエロギ(ポーランド風ギョウザ)のお店をさがしあてディナー。メニューが意味不明なので目当てのモノは結果食せなかったが、スープと料理はどちらも美味だったし、それも旅の思い出だ。