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2017年6月4日日曜日

U20W杯観戦記 後編

あくる朝も快晴。チェックアウト時間は正午とのことでゆっくりできる。
本日は仁川まで向かい、エクアドル—アメリカ と サウジ—セネガル の2ゲームを観戦。昨日に比べればカードも興奮度も今ひとつだが、愛するフットボールが生観戦できる喜びに変わりはない。
水原 → 仁川 はタクシーなら40〜50分(3〜4千円)ってところらしいが、地下鉄と在来線を乗り継げば、300円くらいで行ける(昨日スタジアムで隣に座った日本人が親切に教えてくれた) ただし、2時間近くかかるが。サッカーと酒以外の目的などいっさいないひとり旅で、しかし時間だけはいくらでもある。ここはアジア各駅停車の旅に興ずることにする。汚れた窓の向こう側に、決して美しくはない異国の景色が流れる。韓国の日常の息遣いを感じながら乗り継ぎ駅で迷い、そのたび若者たちの親切心に救われる。良好とはいえない隣国関係も、郷に入っては優しさに出会える。だからサッカーの旅はやめられない。

仁川・松島(ソンド)のラマダホテルにチェックインして昨日食せなかった焼き肉ランチ。観戦をひかえビールも控えめにする。
タクシーでスタジアムへ。到着し降りるタイミングで二人の日本人があわただしくやってくる。聞くと、開催される競技場はここではないらしい。 そんなバカな! 降りようとしたタクシーにふたたび乗り込み、別のスタジアムへ急ぐ。仁川には二つのサッカー専用スタジアムがある。ひとつは15年前に開催されたワールドカップのために建造された仁川文鶴(インチョンムナク)競技場。そしてもうひとつが仁川ユナイテッドFCがホームとして使用する、仁川サッカー競技場だ(2012年建造)。JFAの公式HPにも、仁川文鶴と あったし、 いつ変更になったんだ!? 東京からやってきた彼らも、人がおらず閑散としていることに不安を覚え、よくよく調べてみたら違っていた ということだった。乗車すること20分、新しいほうのスタジアムに着く。タクシー代まで払ってくれて、そそくさと消えてしまったが、今から思えばひとりは 城福さん(元FC東京監督)だったように思う。あのときはあわててたし、(どこかで見た顔だな) と思ったが、尋ねるのも失礼だったしな。

それにしてもつくづく自分は 持っている と思う。スマホも使えず、言葉も通じないこの環境では、違う場所にひとり取り残されては対処のしようがなかった。日程を間違えたか、会場変更になったか と疑問をもっても確認しようもないし。まあ、それはそれで開き直って切り替えて、この状況を楽しむか くらいの腹はくくって来ているが。今までもヨーロッパで現地まで行って、チケットが手に入らず断念してTVやファンゾーンで見たことも何度かあったし。 サムスンの液晶TVで試合を放映している酒場にでも入って、焼き肉とヤケ酒 も悪くないさ。

そんなことも想像しながら自分の幸運に感謝しスタジアム入り。上記2カードで客席が埋まるはずもないのに、なぜかメインスタンド席は完売 とのこと。よほど空席が心配で招待券を配ったんだろう。久々にゴール裏だったが、最前列だったのでまた別の楽しみがある。芝の香りが鼻孔をくすぐり、選手たちのコーチングの声から息づかいまでが聞こえ、鍛えた肉体のぶつかり合う音が数メートル先で発生する。中南米(エクアドル)中東(サウジ)アフリカ(セネガル)。競技と世代は同じだが、その目的が日本人とまるで違うアスリートたちが死闘を繰り広げる。「お前のゴールも、仲間のゴールも、まったく同じ価値」 と教えられた日本選手たちの美しいパス回しとは対極 にある、(俺が活躍して、俺がゴールを決 めて、俺がヨーロッパに買われるんだ!) というエゴイスティックなプレイ。国を背負う若きサムライと、それ以前に、家族を食わすために命をかけるスラムの若者たち(スラムかどうか知らんけど笑) その鮮やかに対比するコントラストの、どちらもがフットボールに必要なもの。

2試合で計8ゴールが飛び交った乱戦を堪能して帰還。弾丸ツアーの名の通り、終わってみれば本当にあっという間に弾丸のように過ぎ去った。
二日間で4試合、8か国を見させていただきました。W杯やEUROと違い、ハタチ以下の若者が躍動する闘いはある意味、その国を映す鏡として、より正確に現状を物語っているだろう。年齢も能力も選手の覚悟も違うが、今年のAチームに生かすことができたら弾丸で行った甲斐もある。

今年もいつの間にか夏になってしまった。6年生と過ごす、3度目の、そして最後の夏が来た。





















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