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2010年11月24日水曜日

価値ある経験

後半残り6分を切り、2点のビハインド。今までの彼らならば、とうに心が折れ、終わりの笛を待つだけの時間。なぜだか今日は、足も頭も口もよく動き、顔に死相を浮かべている者は皆無だ。立ち上がりは最悪で、内容も論ずるに値しないゲーム。
「最後まであきらめるな!」
「自分たちを信じろ!」
大人や指導者が好んで使うフレーズだが、叫ぶ当人たちが、心の奥底であきらめてる場合が多い。
当然のことだが、人間は過去を積み重ねて「経験」に代えてゆく。そしてその(経験)により、これから起こることを予測する。低学年のように、日々起こることが新鮮で劇的なら、大人の言うがまま、「次」に期待して、全力でプレーするだろう。だがしかし、10数年生きてきて何十、何百という試合をこなしてくると、力の拮抗した相手にはとくに、簡単に「逆転のシナリオ」は描けない、と知るようになる。JやW杯でドラマチックな逆転劇を目にしても、どこか遠い世界の話だ。
「絶対勝つぞ!」試合中に叫ぶ選手自身ですら、(負けるんじゃないか)という不安に飲み込まれそうになっている。
逆転は難しい。事実、届かないことのほうが多い。けれども、不可能ではない。自分たちにも必ず可能である。それをこの日、知った。この(経験)はこの先ずっと、彼らの支えとなるのだろう。今年初めてもらったカップよりも、ずっと価値のある秋の一日を、きっと忘れないだろう。

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