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2018年7月20日金曜日

2018サムライinロシア 2

まず、確実に失敗すると断言した代表が、結果としてベスト16に進出したことには驚きを禁じえないし、素直に謝罪したい。
では、今大会のチームづくりと戦い方が成功だったのか というと、それもまた答えはでないと思う。なぜならコロンビア戦開始数分の PK → 退場 のスペシャルプレゼントが結果に多大な影響を及ぼしたのは確かだからだ。あれがなければ勝ち点3が手に入ったか甚だ疑問だし、その後の戦いがどうなっていたかわからない。大迫の突破やゴールはたしかに見事だったが、世界のメディアが書き立てたように、あれはコロンビアの自爆だった。

その一方で、セネガル戦は素晴らしかった。ミスで重ねた失点を迫力ある攻撃で取り返した、という目に見える形ではない。4年前、コートジボワールの前に、あきらかに腰が引けた戦いをした似たようなメンバーが、堂々と対峙し、ボールを動かし、相手をコントロールし、攻め、仕掛け、崩し、そしてアグレッシブな守備をする。格上と思われていたアフリカ勢に一歩も引けを取らず、いやむしろ飲んでかかっていた。彼らの心境の変化か、西野さんの魔法の話術か、とにかくこのメンタリティが本当に素晴らしかった。

そして最終節ポーランド戦。すでに 死に馬 となっていた欧州の古豪には圧勝の予感すら漂ったが、待っていたのは違った現実だった。敗北したこと ではなく、決勝トーナメントを見すえ主力を温存する、というかつてこの国になかった選択と、バックアップメンバーでは、死に馬にさえ蹴られるのか という現実だった。
ラスト十数分の 試合放棄 はありえない。女子アジアカップの日豪戦の最終盤のような、(握手して互いに次ラウンドへ行こう) というなら十分に理解できるし、今なら小学生でさえ時間を使っての逃げ切りはスタンダードだ。しかし、自らの命運を、セネガルの攻撃力vs.コロンビアの守備力 という天秤にかけて祈る なんて選択は普通はできない。 1点を取るために、スキルと戦術を磨きに磨き、緻密に計算しつくしてゴールまでの道のりを構築する日本と違い、相手のわずかなミスをつき、あるいは一瞬の走力や異次元のパワーでビルドアップを省略してゴールを陥れるセネガルだ。もしもアディショナルタイムにセネガルが追いつき、日本が敗退 という結末が待ち 受けてい たら、心に残るわだかまりはいかほどのものだったろうか。ポーランド戦で1点を取りにいき、逆にカウンターで失点し敗退する。どちらもありうる可能性だが、胸を張って帰れるのははたしてどちらだろう。私にはできない。私にはできないが、そのギャンブルに挑み、勝った西野監督を心底尊敬する。

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