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2015年3月13日金曜日

平成26年度 名古屋少年サッカー大会 準々決勝ドキュメント

12月 下書き


名古屋を驚かそう との野望をもって臨んだ大会だった。

新人戦、全日予選、12リーグで 僕たちを乗り越えたり互角だったりしたチームの成績からして、名古屋の頂点も、そう遠くない位置にあるかと思っていた。
ただ県王者になったチームだけは、戦うどころか見たこともないので、そこに不安はあった。
真夏に「全国」の空気を吸い、ひとまわり強くなる のは経験上知っていたし、なにより頂点までのスコアを見ても、頭ひとつ抜けてる感じはした。
後期リーグでわれわれが完敗した三○月とのゲームが唯一の判断材料となった。
うちの爆撃機ほどの破壊力のあるアタッカーはいないが、全員のスキルが高く、とにかく判断とボールを動かすスピードが速い。
とくに中盤のプレーメーカー の質は高 く、彼を起点に多くの攻撃が始まっている。
ツートップの左、右のサイドハーフはクイックネスに優れ、十分に全国で通用するレベルだ。

真っ向勝負!では玉砕は目にみえている。 どう戦うか。 仕事以外は、酒とサッカーのことしか考えていない者が知恵をしぼった。

プレーメーカーを抑えるのに、うちの中盤ではいかにも役不足だ。能力が違いすぎる。 (うちの)8番をぶつけて、10番を生かすか、10番をあてて守備的にいくか。

GKとCBの血統が根底に流れている指導者は、後者を選んだ。 これで中盤の真ん中はなんとかなる。 それ以外の不安をどうつぶしていくか。

いつもの3バックも考えたが、ここに8番をはめると攻め手が10番の個人能力だけになる。3番でどうにかなる相手ではないし、9番のコンディションには不安がつきまとう。DFも40分しのげるとはとうてい思えない。スピードで7番は振り切られるシーンがあるだろう。4番がカバーできるか。8番の代わりに起用する5番は、忠実さとしつこさは信頼できるが、フィジカルにおいての不安は飲み込んだままだ。何回かは決定的なシーンがつくられるだろう。39番が掻き出せるか、相手のシュートが枠を外れる幸運にめぐまれるか。10番のワンマンプレイでは、ラスト10分、5分で足が止まるリスクがある。ツートップや、サイドの8番、11番で負担を減らせるか。 11番が40分 戦えるとも思えない。18番で抵抗できるか。6番をどの局面で起用するのか。

「可能性を高めるなら雨だね」 車で語った望み。 陰で 『雨男』 と呼ばれてるらしい 晴れ男 が奇跡の豪雨を降らせ確率を高める。
おまけに相手のプレーメーカーまで不在で、金星の条件は整った。

キックオフ。 中盤の真ん中を制圧し、主導権を握る。両アウトサイドのマッチアップで8、11が健闘しうちの時間が続く。
想定外の早さで11が音を上げ、18投入。途端に息を吹き返す相手の左サイド。7、4 でなんとかしのぎ、ピッチにも助けられ、こう着状態。
後半。 互いに迎えた決定的シーンもネットを揺らせず、勝負はロシアンルーレットに委ねられる。

香川、全日、奈良...すべてのPKを負け続けたがゆえ、そろそろ俺たちの勝つ番か。

キッカーの選択。 (こいつなら決めてくれる) という期待より、(こいつにはキツイ) という消去法でメンバーを選ぶ。

10番、3番手で決まり。  6番、とりあえず今まで外してないし、度胸はある。1番手でいけ。  7番、全日で外したがキックの精度と威力、2番手を頼んだぞ。

さて...で、4番手。  4番、この前学校大会で外したシーンが頭からはなれない...パス。  5番、メンタルと精度は信用できるが、いかんせんパワーに難がある。この重馬場ではきつい。  9番、(お願いだから選ばないで) と目が語っている。  39番、論外(笑)  8番、度胸があるのか、ビビッているのかつかめない。けどお前のキックのスキルなら大丈夫だ。信じてるぜ! 

野望はついえる。

勝者は、その後順当に頂点まで登りつめた県王者だった。


けれども、敗者はどこにもいなかった。 敗者はいなかったのである。

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